レポート
2025年12月12日(金)
2025イベントレポート「キラキラたからもの缶バッジ」が夏休みの思い出に。
終了 目次
2025年7月26日、国立新美術館で開催された夏休み恒例のワークショップ「手ぶらでブラっと工作室2025~キラっと!キラキラたからもの缶バッジ~」は、子どもから大人まで、幅広い世代の参加者で賑わいました。
ワークショップの様子とともに、参加者の声やできあがった缶バッジ作品、主催する国立新美術館 教育普及室の柴澤希さんのインタビューをお届けします。
「たからもの」というテーマに込めた想い

缶バッジ作りのワークショップは、毎年夏休みの時期に開催され、2025年で第6回目。小さなお子さんから大人まで、誰でも自由に参加できる「ドロップイン形式」が特徴で、美術館の教育普及活動の一環として続いています。
2025年のテーマ「たからもの」は、9月から始まる2つの展覧会——ハイジュエリーの世界を紹介する『ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧』と、現代美術を紹介する『時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010』——にちなんで設定されたもの。さらに、今回作った缶バッジが、参加者のみなさんにとって大切な思い出=「たからもの」になってくれたら、という願いも込められています。


今回の企画は、国立新美術館でインターン中の学生たちのアイデアから生まれたもの。テーマ設定から素材選び、さらには完成作品を飾る「たからばこ」の演出まで、学生たちと教育普及チームが共同で企画を練り上げていきました。
親子で夢中に!ワークショップの様子
ワークショップ会場は、夏の暑さを忘れるような涼しい空間。スタート直後から、事前にイベント情報をチェックしてくださった方々が参加され、イベント終了まで参加者が絶える時間がありませんでした。


今年はなんと、合計325名が参加!過去のドロップイン形式ワークショップの中でも最多記録となりました。中には「去年も来たんです!」という常連さんの姿もチラホラ。
用意された机には、色とりどりの素材や装飾パーツがずらり。カラーテープやセロファン、透明なオーロラシート、ラメの入った紙、キラキラのスパンコール、過去の展覧会のチラシなど、多彩な素材が自由に使えるのも魅力のひとつです。



「何を使おうかな?」「これもキレイ!」「このチラシのこの部分を切って使いたい!」と、子どもたちの目は真剣そのもの。手を動かしながらも、素材を見比べたり、色のバランスを考えたりと、小さなアーティストたちの創造力が光ります。

大人たちも思わず夢中に。「子どものためにと思って来たけれど、大人の方がついこだわってしまった」という声も多く聞かれました。普段はなかなかものづくりの時間が取れないからこそ、親子で机に向かって何かを一緒に作る時間は、とても貴重で贅沢なひとときだったのかもしれません。
「お母さん、見て!」と完成した作品を誇らしげに見せる子どもたちと、それを見守るご家族の笑顔がとても印象的でした。
みんなの作品集&参加者の声


缶バッジが完成すると、撮影コーナーに用意された宝箱の中に入れて写真撮影。自分だけの「たからもの」を持った子どもたちは、みな嬉しそうな表情を見せてくれました。
参加者から寄せられた声をご紹介します。

●「近くなので、参加しました」というファミリー。兄弟の作品はそれぞれ個性が光ります。

●「青がだいすきで、海をつくった!」という女の子とおそろいの青い服を着たお母さん。色のトーンをそろえた涼やかな作品が完成し、「楽しかった!」と満面の笑み。

●「キラキラしてるのが好きだから、作れてうれしかった!」と声を弾ませた子の作品は、スパンコールとキラキラ素材を重ねた輝くデザイン。

●娘さんはハートと星をあしらったかわいらしい作品を制作。「子どものために参加したのに、大人の方がこだわっちゃって(笑)」と、お母さんも思わず夢中に。

●とっても楽しかった!と話してくれたのは双子の姉妹。お父さんと仲良く3ショット。

●徳島から訪れたふたりは、「国立新美術館に来てみたくて。たまたまイベントを見つけてラッキーでした。すごくいい思い出になりました」と笑顔。

●アーティスティックな感性が光る姉妹は、「ふだんからお絵かきが大好き」とのこと。色づかいや構図からもそのセンスがうかがえました。

●「お姉ちゃんがくま好きだから、おみやげにクマの缶バッジを作った」というのは、弟くんとお母さん。来られなかった家族のために手作りするという心温まるエピソードも。

●お父さんへのプレゼントにと、ブルーの缶バッジを作った男の子。完成後は、青い宝石箱に入れて記念写真をパチリ。


●高校生・大学生くらいのお姉さんたちも、「美術館のホームページで見て興味を持った」と来場。世代を超えて楽しめるイベントであることを感じさせてくれました。
そのほかにも、こんな声をいただいています。
●ワークショップの常連さんも。「2歳の息子と一緒に、毎年楽しみにしています」。こうしたリピーターが増えていることも、企画継続の原動力です。
●年長さんの女の子。「まだイメージしたものを形にするのが難しそうだけど、成長が楽しみ」と語るお母さん。「たまたま通りかかってホームページを見て参加しました」とのこと。


それぞれの「たからもの」バッジがキラリと個性を放っていました。「こんな使い方があるんだ!」と驚かされるような創意工夫もたくさんあり、見ているこちらも楽しくなりました。
誰もが気軽に楽しめる美術館へ

国立新美術館では、ここ数年、子育て世代にも美術館をもっと楽しんでもらえるような取り組みを積極的に行っています。
・ベビーケアルーム(授乳室)のリニューアルやベビーカーの館内貸出
・託児サービスの拡充
・親子で参加できるワークショップの開催など…
今回の缶バッジ・ワークショップも、その一環。
柴澤さんは、「これからも、誰でも気軽に参加できる企画を続けていきたい」と話します。

「予約制の少人数ワークショップも開催していますが、こうしたドロップイン形式のイベントは、ふらっと立ち寄った方も参加しやすい。美術館がひらかれた場であることを実感してもらえる機会になれば」
実際、当日も美術館のロビーを歩いていて偶然イベントを知り、参加したという方が多くいらっしゃいました。
「ものづくりの楽しさを通して、美術館をもっと身近に感じてもらえたら」。そんな願いが込められた本ワークショップ。参加した子どもたちにとってはもちろん、親御さんにとっても、思い出深い夏の一日となったのではないでしょうか。
アートに触れ、たからものを持ち帰った夏の思い出。これからも国立新美術館では、親子で楽しめるイベントや、多様な方に開かれた取り組みを展開していく予定です。次回の開催をどうぞお楽しみに。
文 = 新井まる