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レポート

2025年12月11日(木)

2025イベントレポート「家族で!みんなで!プリズムウィークエンド」

終了
Connecting Children with Museums

国立新美術館ファミリープログラム 家族で!みんなで!プリズムウィークエンド

国立新美術館


開催日 2025年10月3日(金)・10月4日(土)・10月5日(日)

  • ワークショップ
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10月3日〜5日の3日間、国立新美術館で開催されたファミリー向けイベント「家族で!みんなで!プリズムウィークエンド」。
このイベントは、同館の展覧会「時代のプリズム:日本で生まれた美術表現1989-2010」と「ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧」にあわせて開催されました。「プリズム」というテーマのもと、色彩や感性のひらめきが家族それぞれに反射しあう3日間となりました。

アートを「見る」だけでなく、「つくる」「探す」「語る」ことで、家族みんなで自由に美術館を楽しむ週末。館内では、スタンプラリーをはじめ、作品をおしゃべりしながら鑑賞できる「おしゃべり鑑賞アワー」、自由な発想で帽子をつくる「ぷぺぽぱぴヘッド」、そして未就学児でも楽しめる「プリズム山に絵をかこう!」の4つのプログラムが行われました。

スタンプラリー「ズムズムたんけんたい」

まず人気を集めていたのが、館内をめぐるスタンプラリー「ズムズムたんけんたい」。
地下1階から3階まで、屋外も含めて全部で5箇所に設置されたスタンプ台を見つけるため、美術館のあちこちを探検していきます。

「わぁ、見つけた!」「あとひとつでコンプリートだ!」手にしたチラシにスタンプを押すたび、絵柄が少しずつ変わっていく仕掛けも子どもたちに大好評でした。すべてのスタンプを集めたら、1階のインフォメーションで“コンプリート認定スタンプ”を押してもらい、オリジナルの缶バッジをもらえます。

参加したお母さんと娘さんは、
「まずはスタンプラリーからはじめて、それから帽子のワークショップに行こうと思って。全部まわるだけでもけっこうな冒険ですね(笑)」

兄弟で参加していたご家族は、傘立ての近くで最初のスタンプを押しながら、
「お兄ちゃんが最近、美術に興味を持ち始めたので、今日は展覧会と工作も一緒に楽しみたいです」
と話してくれました。

ぷぺぽぱぴヘッドをつくろう! 爆発する現代アートを、頭の上に

「ぷぺぽぱぴヘッド」は、3階の研修室で行われた小学生向けワークショップ。タイトルに「ぷぺぽぱぴ」という言葉を入れたのは、音の響きの面白さと、現代アートの自由で爆発的なエネルギーを連想させるからだそう。ヘルメットの下などにかぶる紙製の帽子をベースに、カラフルな素材を自由に貼り付けて、世界に一つだけの「あたま」を作ります。キラキラ折り紙、カラーテープ、毛糸、紙コップ、アルミホイル、さらには過去の展覧会チラシまで──素材はまるで宝石箱です。

ブルーとピンクのスポンジをぐるりと張り巡らせた、一際目を引く帽子の作者の男の子は、
「この後、ブルガリ カレイドス展を見に行くから、そのイメージで作った!」スポンジを宝石に見立てていたとは何とも素敵。お兄ちゃんは野球チームカラーの帽子を完成させました。

3人兄妹で参加した家族は、それぞれ好きなものを帽子にしていました。妹さんは猫の女の子の帽子、お姉ちゃんはお花が咲く帽子、お兄ちゃんはスポンジでビルを作り、ストローで避雷針を立てた街の帽子と壮大な作品です。家族みんなで帽子をかぶってそのまま「時代のプリズム」展へ。作品と自分の作品が共鳴したのでしょうか、楽しんでいる様子が印象的でした。

紙コップを2つ帽子につけてうさぎの耳に。アイディア溢れるうさぎ帽子を作った女の子は、チラッとのぞく毛糸の前髪もポイントだそう。お母さんと並んでニコニコピースを見せてくれました。

「魔法使いの帽子を作って、余った素材でステッキまで作りました!」という親子も。
 娘さんは杖を手に笑顔でポーズを決めてくれました。

男の子3人兄弟のファミリーも参加。
お兄ちゃんは「パパ、ママ、兄弟3人の名前」を帽子に描き、さらにチョコレートや雲、てるてる坊主なども加えて、とてもにぎやかな作品に。お母さんは「家族思いだね〜!」ととても嬉しそうです。

もうすぐ3歳の男の子は大のカブトムシ好きで、帽子もカブトムシ仕様。「スタンプラリーも全部回るよ!」と元気いっぱいに話してくれました。

作ったばかりの帽子をかぶって館内を歩く姿も多く見られました。「娘が好きなので」と、お父さんが百人一首の歌をズラリと書いた帽子を嬉しそうにかぶって館内を巡っている女の子も。美術館の中に、ちょっと早めにハロウィンの仮装行列が現れたかのようです。

プリズム山に絵をかこう!

「ぷぺぽぱぴヘッド」のすぐ隣では、未就学児向けのフリースペース「プリズム山に絵をかこう!」が開かれていました。ダンボールをでつくられた山に、クレヨンやシールで自由に絵を描いたり飾りつけたりできるスペースです。

お姉ちゃんやお兄ちゃんが帽子づくりに夢中になっている間、小さな子どもたちはここでのびのびと表現を楽しんでいました。

2歳の女の子は「アンパンマン大好き!」と、好きな色の赤色クレヨンを握って夢中でお絵かき。そのあとはご両親と一緒にシール貼りも。笑顔が絶えません。

Instagramでイベントを知って初めて来館した家族も多く、「こういう企画があると子どもと一緒に美術館に来られてうれしい」との声も寄せられました。

「時代のプリズム」展でおしゃべり鑑賞アワー

国立新美術館で開催中の「時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010」展の会場では、プリズムウィークエンドの3日間、午前中に「おしゃべり鑑賞アワー」が実施されました。この時間だけは、子どもも大人も声を出しながら作品を見てOK。美術館の「静かにしなければならない」雰囲気から解放され、親子で思ったことを自由に話し合えるたいせつな時間です。

展覧会場入口にベビーカーを停めて、お子さんと一緒に展覧会を楽しめます。

「お母さん、あれ、なんか光ってるね」「あの形、おうちみたい!」そんな声が会場のあちこちから聞こえてきます。

2歳半の女の子とお父さんで訪れた親子は、月に一度は美術館を訪れるという常連さんです。「『時代のプリズム展』は、映像作品が多く、作品の色や形が様々なので小さな子にも視覚的に楽しい展示でした」と笑顔。「娘がスタンプラリーが大好きなので、この後に挑戦しようと思っています」と話してくれました。

みなさん、やはり子連れだと美術館には来づらいので、こういった機会がうれしい、という声が多く寄せられました。

お母さんが「見たかったけれど子連れでは行きにくいので」と感じていたこの展覧会を、この機会に一緒に訪れた親子。手をつないで作品を眺める姿に、スタッフからも自然と笑みがこぼれます。

Instagramでこのプログラムを知り、2歳の娘さんと3度目の来館というお母さんは、「“シーッ”って静かにするのはまだ難しいから、今日は、おしゃべりしてもいいというのがとてもありがたいです。娘は宮島達男さんの光る数字の作品が気になったようで、釘付けでした」と話します。

「時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010」国立新美術館 2025年 展示風景 
撮影:上野則宏

会場には、「ぷぺぽぱぴヘッド」をかぶったまま鑑賞する子どもたちの姿も見られました。作品とユニークなあたまが、まるで共鳴しているようです。

美術館が、家族の時間をつくる場所に

「美術館は静かに過ごす場所」というイメージを軽やかに越え、時には「家族で語り、つくり、笑う場所」でもあることを知ることができた3日間。プリズムという名のとおり、子どもたちの笑顔と作品が反射しあい、ひとりひとりの感性がきらめく時間となりました。


撮影: 石原敦志